※言われなきゃ分からんかった
入社3年目の男性、通称マスター君
彼の転勤先がドイツに決まった。
コロナの関係もあり期間は1年、あっという間だね。
ワクチン接種も終わり、書類の準備も終わり、
あとは時期をみて行くだけ…のはず。
そんなマスター君が私の部屋にコンコンと来た。
なんぞや?
私が彼と話す事はまずない。嫌われてるし(笑)
「転勤は構わないのだが、
保険金の受取を親ではなく彼にして欲しい」と。
うちの会社、社員に生命保険を掛けて居るのよ。
急な海外出張もあるし、まぁ国内もそうだけど保険はお守りで。
職種によって保険の内容は違うけど、
会社が全額負担で保険を掛けている。
その受取人を独身である彼は、親ではなく彼にと。
彼に。
かれ、
カレ?
彼ですか?
胃が痛くなるような話だな.."(-""-)"
「僕はLGBTです、隠してて申し訳ございませんでした」
何故謝る?
好意を寄せる相手は 人それぞれだろ。
されど保険金の話は別。
これは近親者以外、受取人の指定が出来ない。
一般の保険は出来るかも知れないが、
会社で採用している保険会社では出来ない。はず、、、だと思う。
「マスター君、一応調べてみるがね、オバチャンは反対かな。
大学まで通わせてくれた親だぞ。
親より先に死ぬって一番の親不孝だぞ。せめて金くらい残してやれや」
「親は大丈夫です。兄が居ます。
でも彼は僕が居なくなったら一人になるんです。
結婚も出来ないですし、彼を守るもの、保証される物が何もないんです」
まぁ落ち着こう。
その前に、
マスター君が死ぬこと前提になってるし。
無事に帰って来る事が一番でないかね。
ここから 彼のLGBTについての議論がはじまる。
結婚できない事。
世間の目は冷たい事。
変態扱いされる事。
歴史的背景などなど。
マスター君と二人でこんな記事も見つけたけど、難しいだろうな。
お前も大変だな。
すみません。
謝るなよ。
すみません。
(-_-)
とりあえず保険会社へ確認だな。
他の役員に話しても良いか?
……
保険会社を変える時、役員の許可は必要だぞ。
……
お前ね、心は決まってるんじゃないの。
…… 変態扱いされてしまう。
過去に傷つけられた事があったのだろうか?
でも、
でもね、
乗り越えなきゃならんぞ。
これから先もな。
「はい」
社長は理解する事が難しいかも....武士だからなぁ、剣道男だし。
胃潰瘍になりそう....。