作家の吉田健一は毎週木曜日の昼頃、神田神保町のビアホールに必ず顔を出していたという。
窓際の席でタンブラーを4杯、5杯と空け、帰りがけには熱い紅茶にウイスキーのダブルを注いで飲んだ。
しかるのち、近くにあった大学で英文学の講義に臨むのである。
1960年代の話だが、これだけ飲んで教壇に立つ猛者は珍しかっただろう。
それでも周りは、まぁ寛容だったのである。
エシカルやSDGsといった言葉ばかりが踊り、闇雲な規制に走るのも社会を息苦しくさせる。
さて吉田先生によれば、
「犬が寒風をよけて日なたぼっこをしている」ような境地が最上の酔い方だという。
酒というのは やはり難しいものである。
※ジャインエアの訳者:吉田健一
ついでに、吉田茂の息子(こっちの方が有名かな?)