Abundzu

Lebe gehorsam

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サミング・アップ


作家たるもの、
自分が書いたものが 
自分以外の人にとっても
価値があるかどうか、時には自問すべきである。

世界では何百万の人が飢餓線上にあり、
地球上の広い部分で自由が死につつあるか 既に死んでいる状態にある。
恐ろしい戦争が数年おきに繰り返されている。

厳しい世界を思うと、
芝居や物語や小説を書くのは、
いかにも無益ではないかと自問せざるをえない。

私の考えうる唯一の答えは、
作家の中には 
『書く以外のことが何もできないように生まれついた者もいる』
というものだ。
書きたいから書くのでなく、書かざるをえないから書く。

世の中にはもっと差し迫ってすべきことがあるのかもしれないが、
魂を想像の重みから解放せねばならないのだ。
たとえローマが燃えていても、書いているのだ。
世間の人は消火のために、
バケツ一杯の水も運ばないからと軽蔑するだろうが、仕方がない。
バケツの運び方を知らないのだから。
それに、火事を見ると心が躍り、様々な表現で頭が一杯になるのだ。